・報告 日韓翻訳推進会「講演会」のご報告
(レポート:佐藤 治)
2012年11月22日19時から、豊島区の南大塚地域文化創造館で、日韓翻訳推進会主催の講演会が開催されました。
講師は、ことわざ研究家で翻訳者の北村孝一(きたむら よしかつ)先生。講演タイトルは 「誰のための翻訳か――語学と翻訳の隔たり」。会場には、韓国語を学んでいる人たちや翻訳者を目指す人たちなど、二十名ほどの熱心な聴講者が集まりました。

北村先生の講演は、数か国語にわたる60冊を超える幅広い分野の本の翻訳体験をもとにした、たいへん示唆に富む内容でした。

北村孝一 先生
なによりも強調されたのは、翻訳に対する翻訳者の心構えでした。よい翻訳とは語句の単なる移しかえではなく、訳している本の専門的分野と用語についての知識があり、言葉の背後に広がる両国の文化の違い、表現の違いにも目配りが利いていなければならない。つまり、語学力があるというだけではよい翻訳はできないという認識が、まず必要であるというわけです。
北村先生は同時に、よりよい翻訳をするための情報の集め方や資料の使い方、さらには日本語の特徴についても、具体的にお話を展開されました。参加者の一人からは「北村先生のお話はとても興味深く、話の内容だけでなくお人柄そのものからも学べることの多いものでした。」との感想も聞かれました。
翻訳の奥深さと面白さが伝わってくる講演でした。