『世界書店紀行』

『世界書店紀行』
著 者: 金 彦鎬
出版社: 出版メディアパル
ISBN 978-4-902251-60-9

本書は、論語の「以文會友 以友輔仁」という一文を愛してやまない韓国ハンギル社代表金彦鎬氏がこれまで訪れた世界の書店を巡る旅の中で出会い、感銘を受けた書店や書店人を紹介しています。同氏は、1970~80年代の韓国の困難な時代、後に『ハンギョレ新聞』の発行人となる宋建鎬編集局長の下で東亜日報社の記者として多くの仲間とともに言論の自由を求めて闘い、意に反する形で同社を去った後、76年にハンギル社を設立しました。以後、時代を変える本の力を信じて良書を世に送り出すべく活躍してこられましたが、設立当初は時代背景もあり相次いで発禁処分に遭う等苦い経験もされたとのこと。本の刊行どころか暮らし向きにも困難をきたしていた頃、同氏を励まし、支えてくれたのは志を共にする多くの友人・知己だったそうです。同氏は、著者・出版人・読者がともに手を携えて時代精神を創造するのだと確信し、本づくりの傍ら、坡州出版都市、ヘイリ芸術村、ハンギル・ブックハウス等の建設に携わる等、多彩な活躍もされています。
優れた書店を運営する書店人に対するインタビューを通じて彼らの書店哲学を知り、改めて「本」や「書店」という存在について考えさせられ、ひいては我々が生きる時代に思いを馳せる等、本書には時代の荒波をくぐり抜けてきた‘ロマンチスト’である言論人金彦鎬氏だからこそ描ける本の世界があります。著者の決して短くはない出版人としての経験と洞察力に基づいてセレクトされた書店が味わい深く味付けされて紹介されており、ありきたりな書店紹介書とは一線を画しているように思えます。
コロナ禍の収束がいつになるのか先が見えない情況で、海外旅行はおろか、近隣の散策すらままなりませんが、名カメラマンでもある著者が写した写真が随所に配置されており、居ながらにして世界の書店巡りを楽しむことができます。
なお、出版元であるメディアパル社では直接お申込みいただいた方に送料無料でお送りしているとのことでした。

〔目 次〕
・ 前書き
■ ヨーロッパ・アメリカの書店紀行
1 ドミニカネン書店(オランダ・マーストリヒト)
2 ドーント・ブックス(イギリス・ロンドン)
3 バーター・ブックス(イギリス・アニック)
4 シェイクスピア&カンパニー(フランス・パリ)
5 クック&ブックス(ベルギー・ブリュッセル)
6 ヘイ・オン・ワイ(イギリス・ウェールズ)
7 トロンスモ(ノルウェー・オスロ)
8 ミッドタウン・スカラー書店(アメリカ・ペンシルベニア州)
9 ブック・ミル(アメリカ・マサチューセッツ州)
10 ストランド・ブックストア(アメリカ・ニューヨーク州)
11 マクナリー・ジャクソン・ブックス(アメリカ・ニューヨーク州)
■ アジアの書店紀行
12 万聖書園(中国・北京市)
13 三聯韜奮書店(中国・北京市)
14 単向空間(中国・北京市)
15 季風書園(中国・上海市)
16 鍾書閣(中国・上海市)
17 先鋒書店(中国・南京市)
18 舊香居(台湾・台北市)
19 クレヨンハウス(東京都港区・北青山)
20 北沢書店(東京都千代田区・神田神保町)
21 栄光書店(韓国・釜山市)
22 宝水洞書店街(韓国・釜山市)
23 ハンギル・ブックハウス(韓国・坡州市)
24 巡和洞天(韓国・ソウル市)
・ 監修を終えて